2020-07

バドミントンニュース

来春閉校の県立高校 1人だけの水泳部員、寂しかったはずのプールが…

来春閉校の県立高校 1人だけの水泳部員、寂しかったはずのプールが…

 新型コロナウイルスの影響で今夏、さまざまな競技大会が全国規模で中止に追い込まれ、晴れの舞台を失った高校スポーツ界。各競技団体などがそれぞれ工夫を凝らし、独自の代替大会が準備・開催される中、特別な思いで部活動に汗を流す高校生アスリートがいる。来春閉校する宮崎県立都農(つの)高(梅津政俊校長、72人)の生徒たちだ。コロナ禍に見舞われる中、“高校生活最後の試合”に臨む姿をカメラで追った。 (写真と文・佐藤雄太朗)

 水温約23度。水の中に入るにはちょっと勇気が必要になる。「楓恋(かれん)はこの冷たい水を耐えて泳いでいる。すごいな」。山口宗英顧問(58)がそう呼びかけると、黒木楓恋(18)はいつも「やればできる」と“その気”になった。大好きな水泳の時間が、今日も始まる。

 水泳を始めたのは3歳。中学には水泳部がなかったため中断し、さらに都農高にも水泳部はなく何をしようか迷ったという。そんなとき、山口顧問が水泳部を立ち上げる話を聞き、心が躍った。

 入部当初は2年生の先輩と2人だったが、今年は山口顧問と二人三脚で練習に打ち込む。「プールの独り占めはうれしいけど寂しくなる。学校の休校と同じかも」

 新型コロナウイルスによる臨時休校期間は「人と会えず、つらかった」という。友達との再会を果たすと「学校が本当に楽しい。だから、この好きな場所が閉校し、なくなるのがやりきれない」と感じた。

 水泳部の練習も再開すると「私一人のためにプールの準備をして、練習に付き合ってくれる」との思いが増し、山口顧問との向き合い方に「恵まれているな」という気持ちになった。

 高校総体県予選の代替大会は19日だ。自由形50メートルと100メートルに出場し、「得意の50メートルで34秒を切ろう」と目標を決めた。「ちょっと背伸びかな。だけど、やれる気がする」。自然と笑みがこぼれた。

 放課後のプールに夕日が反射し、水面を黄金色に染めた梅雨の中休み。「都農高に来て成長したことをタイムで示したい」と、意気込む黒木がいつまでも泳いでいた。

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 ◆宮崎県立都農高 1952年に県立高鍋高都農校舎として発足し55年から都農高。2000年代に入り少子化が続き、16年に高鍋高との再編統合が決定、21年春に閉校する。現在の全校生徒は3年生のみ72人。体育系の部活は男子バスケットボール部、バドミントン部、水泳部、剣道部、空手道部。所在地は宮崎県都農町川北4661。西日本スポーツ

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来春閉校の県立高校 「幻の横断幕」を背に汗流すバドミントン部

来春閉校の県立高校 「幻の横断幕」を背に汗流すバドミントン部

 新型コロナウイルスの影響で今夏、さまざまな競技大会が全国規模で中止に追い込まれ、晴れの舞台を失った高校スポーツ界。各競技団体などがそれぞれ工夫を凝らし、独自の代替大会が準備・開催される中、特別な思いで部活動に汗を流す高校生アスリートがいる。来春閉校する宮崎県立都農(つの)高(梅津政俊校長、72人)の生徒たちだ。コロナ禍に見舞われる中、“高校生活最後の試合”に臨む姿をカメラで追った。 (写真と文・佐藤雄太朗)

 今月5日に開かれる町内大会が引退試合となるバドミントン部。学校が今夏のために用意した高校総体県予選の入場行進に使うはずだった横断幕を背に、汗を流す日々を送る。瀧口拳志郎主将(17)は「感謝とともに、気が引き締まる」と話した。町内大会では「みなさんに都農高を忘れてほしくない」との気持ちで臨み、応援してくれる人の心に残るよう、最後までシャトルを追うつもりだ。

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 ◆宮崎県立都農高 1952年に県立高鍋高都農校舎として発足し55年から都農高。2000年代に入り少子化が続き、16年に高鍋高との再編統合が決定、21年春に閉校する。現在の全校生徒は3年生のみ72人。体育系の部活は男子バスケットボール部、バドミントン部、水泳部、剣道部、空手道部。所在地は宮崎県都農町川北4661。西日本スポーツ

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天下一武道会に闇のゲーム、リング。漫画に学ぶ“新スポーツ”の発明法。

天下一武道会に闇のゲーム、リング。漫画に学ぶ“新スポーツ”の発明法。

 スポーツの語源は、「気晴らし」や「遊ぶ」などを意味するラテン語「deportare」が変化した言葉だという。

美しくて強い!モデルも務める女流棋士・黒嘉嘉七段(台湾)の写真を見る。

 そこから身体活動をともなう屋外の運動を意味するようになり、さらに時が経つにつれ、野球やサッカー、バスケットボールのような一定のルールを持つオリジナル競技を指すようになった。

 今ではスポーツというと「ルールの固まった競技」というイメージが強いが、鬼ごっこやかくれんぼのように公園で友だちと遊ぶことも、旧来からあった遊び、ひいてはスポーツだと言えるだろう。現代ではテレビゲームをスポーツ競技として捉えた「eスポーツ」も「新しいスポーツ」として注目が集まっている。

 そもそもスポーツのルールは誰かが「こうすると面白いゲームになるのでは」と考えて作ったものである。ならば、より面白くなるように変えたっていいはずだ。なんなら、イチから作ったってOKである。

 今回は、まさにそうしてスポーツを“発明”したマンガをご紹介したい。『世紀末リーダー伝たけし! 』や『トリコ』で知られる人気漫画家・島袋光年先生が『トリコ』の前に「スーパージャンプ」で連載した、創作輪投げ競技を題材にした秀作『RING』だ。

王道の展開、でも競技は創作。

『RING』は、架空の競技「リング」を題材としたスポーツ漫画だ。陸上推薦で高校に入学した主人公・花形夏(通称:サマー)は、入学初日に夢で見た女の子・佐織あすかに一目惚れする。彼女は1つ上の先輩で、「輪(リング)部」のマネージャーであった。

「リング」初心者のサマーだったが、入学してすぐ、佐織あすかの弟・洋介とリングで勝負することに。そこでサマーは50メートル離れた場所から見事「ビクトリーシュート」を決め、学校から一目置かれる存在になる。その後、サマーは「輪部」に入部し、先輩たちとトラブルを起こしながらも、だんだんとリングにのめり込んでいく。

 あらすじとしては、女の子に惚れ、かっこいいライバルキャラが登場し、面倒見のいい先輩がいて……という清々しいほどの王道スポーツ漫画だ。さらにそこに島袋先生らしい激しい喜怒哀楽が加わる。近年はリアリティー路線のスポーツ漫画が多いので、今読むとこの熱量の高い作風を新鮮に感じる人も多いだろう。次ページは:徹底的に作りこまれた架空のルール。

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フェンシング・三宅諒が約4か月ぶりに練習を再開「“Uber Eats”の活動は第二の原点」

フェンシング・三宅諒が約4か月ぶりに練習を再開「“Uber Eats”の活動は第二の原点」

 フェンシングで2012年ロンドン五輪男子フルーレ団体銀メダルの三宅諒(29)=フェンシングステージ=が1日、昨年3月にオープンした東京・練馬区の「NEXUS FENCING CLUB」で今年3月以来、約4か月ぶりに練習を再開した。

 ピスト上に帰ってきた三宅は17年頃から指導を受ける和田武真コーチ(41)の対人のレッスンを約40分間受け、剣で突き合った。その後はフットワークを鍛えるメニューを約20分間、汗を流した。約1時間の練習を終えた三宅は「体中が楽しいし、いい練習ができた。すごくうれしいし楽しいし…本当にポジティブな気持ちでしかないです」と喜びを語った。

 約4か月のブランクがあったにも関わらず、三宅の体はよく動いていた。和田コーチは「キレが良かった。面白くなってきて、つい追い込んじゃった」と明かすほど。三宅は自粛中の4月末から競技資金捻出などのために週3~4日で取り組んだ「Uber Eats(ウーバーイーツ)」配達員のアルバイトを挙げ、「普段、自転車をこいでいたので、瞬発系はまだまだだけど、動き続けることに関してはポジティブな印象を受けた。(体力を)維持できていた」と手応えを口にした。

6月まで自転車を走らせ、都内各所へ配達に回ってきたといい、合計4万円ほどの稼ぎがあった。

 「Uber Eats」配達員としての活動は世間の注目を集めるだけでなく、五輪メダリストを精神面で支えた。1年延期された東京五輪に向け、コロナ禍で試合が中止となったために競技面では成果を出すことはできなかった。だが、“五輪のため”に始めたアルバイトを重ねたことで「(競技と)別のところで、五輪のために何かをすることで、精神的におだやかな状況を作れた」と三宅。さらに「Uber Eatsの活動は第二の原点。この経験や思い出を持って、今後の練習に取り組みたい」。引き続き、会員登録はそのままで「今は梅雨なのでケガのリスクも考えて。また冬とかに、ちょっと動きたい時にやると思う」と語った。

 来夏に1年延期された五輪へ、大きな一歩を踏み出した。保留にしていたスポンサー3社とも再契約に向けて話し合いが行われる見通し。今後は今月中旬の静岡・沼津合宿から日本代表に合流予定で「やっぱりフェンシングが好きで、五輪に出たい」。まずは9月の全日本選手権(東京・駒沢体育館など)での「日本一」を目標に、調整していく。

◇三宅の練習再開までの行動

 ▽3月 新型コロナウイルス感染拡大で国際大会は全て延期。東京五輪選考レースが中断される。選手は自粛生活へ。

 ▽4月29日 三宅は競技活動資金捻出などのために「Uber Eats」配達員のアルバイトの開始を「note」で報告。各メディアで報道され、注目を集める。

 ▽5月27日 アスリートやチームに寄付(ギフティング)などで金銭的な支援を行うサービス「Unlim(アンリム)」に参加することを自身のツイッターで明かす。

 ▽同29日 自身のYouTubeチャンネル「三宅諒の履歴書」を開設。バドミントン男子で08年北京、12年ロンドン五輪代表の池田信太郎さん(39)らとの対談などを公開した。

 ▽6月2日 日本代表の練習拠点である東京・味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)の使用が段階的に再開。男子エペ・見延和靖(32)ら代表選手は続々とNTCで練習を再開。三宅は「万全な準備を行って」からNTCでの練習に参加予定。

◇三宅 諒(みやけ・りょう)1990年12月24日、千葉・市川市生まれ。29歳。5歳から競技を始め、慶応高2年時の2007年世界ジュニア・カデ選手権男子フルーレ個人優勝。慶大4年時に出場した12年ロンドン五輪では太田雄貴らと組んで男子フルーレ団体銀メダルを獲得。14年仁川アジア大会同金メダル。現在の世界ランクは39位。左利き。178センチ、72キロ。報知新聞社

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インハイ中止の今、卓球部にエールを 水谷隼がオンライン授業開催

インハイ中止の今、卓球部にエールを 水谷隼がオンライン授業開催

史上初のインターハイ中止が決まった今、インターハイ全30競技の部活動を行う高校生に向け、アスリートや全国の有志からエールを届ける「オンラインエール授業」が行われている。この取り組みに卓球日本代表の水谷隼(木下グループ)が参加することが決まった。

オンラインエール授業に水谷が登場

インハイ.tvと公益財団法人全国高等学校体育連盟は、高校生たちへ向け「明日へのエールプロジェクト」を実施している。

その第1弾として行われるのが、アスリートたちから高校生や高校部活動指導者に向けた「オンラインエール授業」だ。水谷は、高校卓球部を対象に7月13日(月)17時から、部活動のいまとこれからを一緒に話し合うオンライン授業の講師を務める。

すでにバドミントンの福島由紀・廣田彩花ペア、ボクシングの村田諒太、サッカーの川口能活さん・那須大亮さんら豪華な顔ぶれの講師が実施済となっている。

高校生・高校教職員(部活動顧問・コーチ等)が対象となっており、7月6日(月)18:00が締め切りで申込みは教職員から受け付けるとのこと。そのため、参加したい卓球部員は顧問の先生に相談してみよう。ラリーズ編集部

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「私は1日33個のルーティンを作った」 杉山愛が高校生に伝えたエールの真意

「私は1日33個のルーティンを作った」 杉山愛が高校生に伝えたエールの真意

 元プロテニス選手の杉山愛さんが29日、「インハイ.tv」と全国高体連が「明日へのエールプロジェクト」の一環として展開する「オンラインエール授業」に登場。インターハイが中止となった全国のテニス部20人に向けて授業を行い、プロに転向した高校時代の思い出を明かしたほか、現役テニス部員たちにアドバイスとエールを届けた。

【動画】日本人初のダブルス世界ランク1位など34歳まで第一線で活躍…USオープン公式ツイッターが投稿した杉山愛のプレーハイライト

 杉山さんが登場した「オンラインエール授業」はインターハイ実施30競技の部活に励む高校生をトップ選手らが激励し、「いまとこれから」を話し合おうという企画。ボクシングの村田諒太、バドミントンの福島由紀と廣田彩花、バレーボールの大山加奈さん、サッカーの仲川輝人、佐々木則夫さんら、現役、OBのアスリートが各部活の生徒たちを対象に授業を行ってきた。

 その第12回の講師として、女子ダブルス世界1位を経験した元名選手が登場した。「とにかく楽しかった、学生時代で一番」と振り返ったのが、高校時代。湘南工科大付(神奈川)に入学した当時について「テニスももちろんだけど、学校の時間が楽しくて。スポーツが強い学校だったので、みんな頑張っている姿が刺激になりました」と思い返した。

「その関係は今もつながっているし、高校時代の友達が一番、仲がいい。よく食べてよく寝て、少ない時間で友達と遊びに行った。楽しかったという印象しかないです」。学生生活の充実に比例するように、テニスの成績も伸びて行った。1年夏のインターハイでシングルス優勝を飾った一方、国内外の大会で実績を積み、2年生の10月に17歳3か月でプロに転向した。

「中学は勉強も厳しい学校だったので、高校はスポーツをしっかりとやれる学校を選んだ。入った時は(在学中の)プロは全然イメージしていなかったけど、1年生の時にインターハイで優勝させてもらい、想像以上に力が伸びた。いろんな大会で結果を残すことができて、これなら『プロでやっていけるんじゃないか』と思い、テニス中心にやっていこうと思ったんです」

 充実していた高校生活。「残念だったのは、プロになると試合も公欠扱いじゃなくなり、友達と別れて通信制の高校に編入するしかなかった」と語った一方で「素晴らしい仲間と、ここ(湘南工科大付)にいたいという気持ちはあったけど、17歳は世界を見渡すとプロで活躍している選手もいた。プロ転向も早いわけじゃない。正しい選択だったと思う」と決断を振り返った。

 3年間で一変したテニス人生。一気に成長できる期間だからこそ、今の高校生たちの伸びしろに期待している。

「高校生の吸収力は、大人になった今の私の吸収力とは全然違う。だから、みんなの可能性はすごく大きい。乾いたスポンジのように、吸収したいという自発的な思いは何にも代えられない。アンテナを張り、答えを求めれば、必ずチャンスはある。それを自分なりに取捨選択し、取り入れることが大事になる。合致すれば一気に可能性が広がり、力がつけられる時期だと思います」

 その上で「今は自粛で我慢させられる状況あったから。跳ね返す力はみんな強いと思う。ここからです」と背中を押した。次ページは:怪我が少なかった杉山さん、予防に大切なことは「体との会話」

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騙されると決して勝てない「サーブの奥深さ」とは? 今さら聞けない卓球観戦の醍醐味

騙されると決して勝てない「サーブの奥深さ」とは? 今さら聞けない卓球観戦の醍醐味

2月1日に行われた卓球の2020 ITTFワールドツアー・ドイツオープン準々決勝。世界ランク1位の樊振東を破ったドミトリ・オフチャロフの多彩なサーブを駆使した戦い方は「サーブ1球の威力」を強く感じさせるものだった。卓球のサーブにおける「下回転」と「横回転」の違いとは何か。そしてドイツの英雄、ティモ・ボル選手がその使い手として有名な「YGサーブ」とはどんなサーブを指すのか。そんな“サーブ”に関する基本を見ていこう。

(文=本島修司、写真=Getty Images)

サーブはその1球で勝負を決める「1球目攻撃」

卓球の試合を見るうえで、まず、最初に目に飛び込んでくるもの。それは、サーブだ。

テレビ中継の解説者も「ここで、このサーブを使えるかですね」という言い方をしたり、「このサーブをうまくレシーブすることができるかがポイントですね」という説明をする。そこでは、「下回転サーブ」「横回転サーブ」「YGサーブ」など、さまざまな言葉が飛び交う。卓球経験者でもない限り、試合中に少し説明されたくらいではちょっとわかりにくいものがある。

卓球は、サーブを出して“試合が始まる”。選手によってはサーブのことを、こんな言葉で表現する選手もいる。

「1球目攻撃」

サーブが得意な選手ほど、この言葉をよく使っている。そう、卓球におけるサーブとは、その1球で勝負を決めてしまえるほど「威力」があるボールなのだ。

例えばバドミントンの場合、「サーブ一発で終わる」というシーンを頻繁には見かけないと思う。一方、テニスではパワーのある豪速球でサーブから打ち抜くシーンがけっこうある。バドミントンのサーブは下から出し、テニスのサーブは上から大きく振りかぶって出すため、テニスはいきなり相手のコートにスマッシュのような速度で“打ち込む”ことができるからだ。

しかし、卓球の場合、テニスともバドミントンとも様相が異なる。卓球のサーブは少し別モノなのだ。それは、まず「自分の手前の台でワンバウンドさせなければいけない」というルールがあること。そして、他競技に比べてより「強烈な回転で勝負する」という一面があること。

この2つの要素が混ざり合い、1球目から豪速球を相手に叩き込むことはできないが、回転量と「切り方を変える」変化で多彩な攻撃を仕掛けることができるという特徴がある。つまり、サーブのことを「1球目攻撃」を呼ぶような選手の多くは、「ものすごい回転をかけることができる」か、もしくは「別な回転をかけたように見せかけるサーブの切り方」ができるということになる。次ページは:「レシーブが一番苦手」という選手が山ほどいる理由

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日本で卓球四大大会開催なら普及にプラス

日本で卓球四大大会開催なら普及にプラス

 【スポーツ最前線 激アツ見聞録】卓球に夢のある話。テニスやゴルフのような四大大会、「グランドスマッシュ」を21年に新設すると、今春、国際卓球連盟(ITTF)が発表した。

 各大会の賞金総額は200~300万ドルだから、日本円にして約2~3億円規模。3試合になる可能性もあるようだが、いずれにせよ、ワールドツアー大改革の目玉である。

 現行では「グランドファイナル」の賞金が最も高い。総額100万ドル(約1億700万円)、シングルス優勝が男女ともに10万ドル(1070万円)。プロ競技にしてはちょっと低いかな、というのが世間の感覚だろうか。

 テニスは桁違いの規模。最も賞金が高い全米オープンは、昨年の総額が5700万ドル(約61億円)。優勝すれば、男女ともに385万ドル(約4億1000万円)を手にした。

 1大会で億万長者になれるテニスは別格として、卓球が“いい勝負”をしているのが、バドミントン。「ツアーファイナル」の総額150万ドル(約1億6000万円)、優勝12万ドル(約1290万円)は、ほぼ互角だ。

 リオデジャネイロ五輪中、男子の水谷隼は「年収は1億円にちょっと届かないくらい」と明かした。大会の賞金では遠く、スポンサー収入やテレビ出演料を含めての金額だった。当時で、億に迫る卓球選手は世界でも数人と言われていた。稼ぎにくい競技なのだ。だから、賞金総額が「グランドファイナル」の2~3倍の四大大会の創設は、選手には魅力的であり、ライバルのバドミントンにも差を付けることになる。

 中国協会の劉国梁会長が新設大会のチェアマンに就任し、改革の巨大船は動き出している。注目は4つの大会をどの国で行うか、だ。

 日本協会・藤重貞慶会長とともに、劉チェアマンに祝福メッセージを贈ったITTFの前原正浩副会長は、「中国、ドイツ、日本といった強豪国に開催してほしいのがITTFの考え」と明かす。ただし、「大会期間は10日。日本だと、人員や会場の問題がある」と一筋縄ではいかない実情も口にした。

 しかし、である。世界的に格式が高い四大大会が、日本で行われるとなれば、他の競技にはないインパクトがある。普及には大きなプラスだ。「四大メジャー」開催は、卓球のメジャー・スポーツ化への第一歩になる。(五輪担当 倉世古 洋平)